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「生命は」    吉野弘さん(詩人)


生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい


花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする


生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ



世界は多分
他者の総和



しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄

ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄

そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?







花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている





私も  あるとき
誰かのための虻(あぶ)だったろう






あなたも  あるとき
私のための風だったかもしれない
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by olivelight | 2010-10-07 20:09 | 感じたままに
『 祝 婚 歌 』しゅくこんか    吉野 弘さん (詩人)


二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

立派過ぎることは

長持ちしないことだと

気づいているほうがいい



完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい



二人のうち どちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい



正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気づいているほうがいい



立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には色目を使わず

ゆったりゆたかに

光を浴びているほうがいい



健康で風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい





そしてなぜ 胸が熱くなるのか

黙っていてもふたりには

わかるのであってほしい
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by olivelight | 2010-10-05 17:44 | 感じたままに